歯磨きを嫌がる場合の介助方法
清水けふ子
2016/05/10

高齢者、特に認知症の方を介護をしていると、歯磨きを嫌がられることがあります。
そのような場合の介助方法について記述いたします。


①歯磨きを嫌がる場合

認知機能が進むと言葉で表現できないので、拒否ということで現れる場合があります。

主な理由は、

(1)むし歯で歯痛い、歯周病が進んで、グラグラしている歯があって、歯磨きをすると「痛い」

(2)入れ歯の出し入れや歯磨きの時、痛い経験をした。

(3)歯ブラシの毛が硬く、歯ぐきに当たると痛い。

上記の他に、歯磨きだけがだめなのか、身体介護着替え・排泄・入浴介助の際はどうなのかも観察してください。

介護全般に渡ってダメな場合は、無理をしないで、その代わり、食後にお茶を飲んでもらうことや、

食後ブクブクうがいだけ促して様子をみることから始めてみましょう。

ただ、歯磨きは嫌がるが、5分もすれば忘れてしまうような場合、1日1回だけでも、強制的に素早く、歯磨き介助ができれば良いです。

何故かというと、歯磨きができていないことで、特に歯の根元がむし歯になり、ポキポキ折れてしまうことが起き、※誤嚥や、※誤飲をしたりする可能性もあるからです。

※誤嚥とは、食べ物や汚れた唾液を気管に吸い込むことをいいます。

※誤飲とは、食べ物以外が、胃に入ることです。

<歯磨きを嫌がる場合の介助方法>
腕を組み上からタオルかけ押さえます。

 

口角から人差し指を挿入して頬を排除すれば、歯を食いしばっていても表側だけでも磨けます。磨いた後は、スポンジ等でうがいの代わりに汚れを拭き取りましょう。


拒否の強いとき、超柔らか歯ブラシですると受け入れてくれることが多いです。この歯ブラシは少し大きめですが、とてもやわらかく比較的拒否の方にも受け入れられます。T&K(株)提供



②歯ブラシを咬んでしまう場合
脳のコントロールができずに、反射で歯ブラシを咬んでしまう場合があります。

その場合は、介助する方は歯の上に指を置かないでください。

<歯ブラシを咬んでしまう場合の介助方法>

歯ブラシを持っていない手の人差し指で、頬を介助しながら行いましょう。

口を閉じてもらえば、頬の筋肉が緩みので、表側だけでも磨けます。

全員にあてはまるわけではありませんが、
Kポンイントを刺激して口を開けさせて、磨く方法があります。
左右どちらかの下あご奥歯のさらに奥の歯肉を押すと、開口反射を起こします。)

下図の○印のKポイント刺激すると、開口反射が起きます。

(※)日本摂食嚥下学会より参照


③口元まで歯ブラシが届かない場合

病気によっては、関節の動きが悪く、市販の歯ブラシの柄の長さでは届かない場合があります。
その場合は歯ブラシのちょっとした工夫で、自分でも磨けるところが出てきます。
歯ブラシが届かない場合の自助具の作り方をご紹介します。

<口元まで歯ブラシが届かない場合の介助方法>

用意するものは歯ブラシ・割りばし・ビニールテープです。
歯ブラシが届く距離までの長さにし、ビニールテープで巻きます。


 



この記事を書いた人
歯科衛生士として、介護を必要とされる方へのお口の健康管理に携わって20年になります。
施設や在宅に訪問口腔ケアで伺っています。お口のお手入れの事をはじめ、お口に関してのお悩みや、食べることや飲み込むことのご相談も受けております。
お口の介護予防であります、口腔機能向上教室を東京や埼玉・神奈川などで行っております。

資格 歯科衛生士
   認定歯科衛生士(在宅療養管理・摂食嚥下リハビリテーション・老年歯科)
   介護支援専門員
   ホームヘルパー2級
   ガイドヘルパー
所属 日本歯科衛生士会(埼玉県)
学会 老年歯科
   摂食嚥下リハビリテーション
   日本歯科衛生士
   日本口腔リハビリテーション