入浴介助の前に事前に確認しておくこと
飯室 達也
2016/04/13

入浴介助の前に事前に確認しておくこととして、まずはご本人の意思の確認だと思います。

介助する立場になると入浴というのは身体を綺麗にすることが主だと考えられがちですが、温泉を例にあげると、癒しの効果や疲労の軽減といった満足感を得ることができます。

このことを踏まえ、浴槽内に浸かるのか、シャワーだけで良いのか。
さらには、身体を洗うところだけか、髪の毛を洗うところだけかという部分を本人の意思に添う形で介助していただけたらと思います。
 
どんな状況下にあるにおいても、考えていただきたいのはご本人の能力を損なわないように介助を行うということを意識していただきたいと思っております。

介助≠親切ではありません。介助を行うということは親切ではありますが、後々のことを考えるとやがて依存心が芽生えてきてしまい、ご本人の持っている能力を消してしまうことになりかねません。

「困っているから手伝いたい」「時間がないから代わりにやってあげる」という場面は幾度となく遭遇するかと思います。

しかし、そこをぐっとこらえることも「介助をする」ことの一つと考えてみることが大切だと感じます。
 
本題ですが事前に確認するポイントとしていくつかの項目が挙げられます。
 

一連の流れ






一例ですが、主な流れを記述しました。

この流れの中においてご本人でできることはやっていただき、できないこと・できなさそうなことに関して準備をしておくことが重要です。

一つ一つの動作を分けて考えると準備するポイントがわかりやすいかと思います。
 

身体について


入浴するうえで、一番気を付けなければいけないこととして、まずが体調の確認です。

入浴する時の体調、できれば血圧の確認をすると尚良いかと思います。

次に、身体を動かす際に痛みや不調がないか等の確認をします。

一連の動作のなかでは、浴室内を移動する、浴槽をまたぐ、座る・立ち上がる、手や足を伸ばして身体・頭を洗うという動作があります。

いつも行っている動作でもひとつ間違えれば転倒をしてしまう危険性もあります。

いつもと何かちがうなと感じることがとても重要になります。

そして、その日の状態に合った介助を心がけることをおすすめします。
 

環境について


 一般的な浴室内の特徴として、狭い、滑りやすい、冬場は寒いという特徴があります。

環境として、入浴動作の際には人間は裸になります。

そのため、脱衣所と浴室内は暖房を入れる、温かいシャワーを出しておく等のことをして、暖かい環境作りをすることが大切です。※ヒートショックという激しい温度差による血圧の変動を防止します。

また、手すりや福祉用具を使用することは重要なことだと考えます。

介助を行っていくうえで、大変な部分は福祉用具によって介助の量を少なくできることも可能です。

本格的な福祉用具に関しては、介護保険の適用となることが多くありますので、ケアマネージャーさんに相談していただけたらと思います。

今すぐ工夫してできることとして、以下に記述致します。
 
・スノコを敷く:またぎ動作を行う際、楽にするために浴室の床を底上げします。段差を無くすこととしても活用できます。

・滑り止めマット:浴槽内での姿勢のずれを防ぐことができます。浴槽内から立ち上がる際に敷くことも可能です。

・洗体タオルを長くする:身体を洗う際に使用するタオルが短く背中まで届かないという場合には、タオルを二つ繋げて長くすることも有効になります。(片麻痺の方にはおすすめです)
 


この記事を書いた人
作業療法士<br>
山梨県の回復期病院で3年間勤務、その後リハビリ特化型デイサービスにて地域の現場へ、関東エリアのグループ長として在宅でのリハビリテーションを支えた。現在は板橋区にてリハビリと旅行を融合しているデイサービスにて奮闘中。<br>
病院勤務時代に、病院と在宅との違いに大きな衝撃を受け、地域で困っている方を救いたいと思い地域の現場へ飛び出した。その中において、藁をもすがる想いの方に多く出会い、皆が作業療法士の力を必要としており、作業療法士のもっている可能性をさらに世に広めるべきと痛感。<br>
今後は在宅の現場での生活をコーディネートする役割を目指し、「旅行」というテーマにおいて高齢者を支える活動を展開していく。<br>
好きな言葉は「いけるなら絶対いっとけ」、フットワークの軽さが特徴。