「医療専門職が知っておくと為になるキャリアアップ方法」”辞めます”という前に。
2016/02/01
Written by GUEST

ライター(匿名)

病院、クリニック、トレーナー経験の後、キャリアコンサルタントとして、人事戦略コンサルや採用支援サポートを手がける。

今の施設での「成功体験」。一歩社外に出たら評価されないことも


「もっと大きな仕事がしたい」「高いポジションにつきたい」「収入をあげたい」など、
キャリアアップを目指している医療専門職の方は少なくないと思います。
その手段の一つとして、近々、あるいは将来「転職」を考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 私は「医療士コンサル」として、医療専門職と施設のマッチングを行ってきました。
企業の人材採用のお手伝いをする一方で、転職を考えている皆さんからの相談もお受けしています。最近では、転職を決意して相談に来ると言うよりも、「今の会社でキャリアを積む」という道と同時に、「転職も選択肢の一つとして検討してみる」というスタンスの方が増えてきました。今は終身雇用制が崩れ、一般企業、大手企業にいても「安定」が保障されない時代。「いろいろな可能性を探っておきたい」という思いが強くなっているように感じます。実際に総合病院は 3 年で若手が循環しながら辞めていくという話も良く耳にします。皆さんも、転職のチャンスを探りながら、下準備を進めているかもしれません。ところが、準備の方向性が間違っていると、思いがけない失敗を招いてしまうこともあります。私は、応募者の面接の場に同席し話を聞くことも良くあります。そして、自信満々で自己アピールした応募者が、期待していたような反応を得られず、あえなく敗退する場面を数多くみてきました。自分では「強力な武器」だと考えていたアピールポイントが、いざ転職活動をしてみるとまったく評価されない、価値があるとみなされないということはよくあります。転職市場で戦おうとするなら、くれぐれも「過信」や「勘違い」をしないように、客観的に自己分析をしておくことが大切です。

 例えば、あなたが面接の場で次のような自己PRをしたとしましょう。

「○○のプロジェクトリーダーを任され、見事成功させました」
「新患を何名獲得、売上目標を120%達成、表彰を受けました」

相手企業の面接担当者が素直に「それはすごい。優秀ですね」と受け取ってくれればラッキーですが、そううまくいかない時もあります。相手からこんなツッコミが返ってきます。

「それは今いる施設にいるからできたことなのでは?」

つまり、病院、施設が持っているリソース――――ブランド力、予算、アシスタントスタッフ、サポートツール、上司の理解といったものがそろっていてこそ実績を挙げられたのでは?それらがなくても成果を挙げられるのか?を問われるわけです。
もちろん、相手が大手企業で「リソースはふんだんにあるから、それをうまく活用してプロジェクトを回してほしい」という意図で募集している場合は、先ほどの自己PRもそれなりに評価されるでしょう。しかし、近頃の転職市場では、そうした求人案件にはめったに出会えません。会社から与えられたものを利用しただけでなく、自分自身がどんな戦略を練って実行したのか、どんな工夫をしたのか。それを伝えられるように準備しておかなければ、「君は出来る人だね」とはならないのです。こうした意味で、転職市場においては大病院出身者よりも、リソースが少ない中で業績をあげてきた中小病院出身者の方が高く評価されるケースもよくあります。「大病院で経験を積んだ」というプライドも、あっという間に突き崩されてしまうのです。

求められているのは、
「1→2」ではなく、
「0→1」の経験 

転職活動を始めるみなさんは、アピール材料を集めるため、これまでのキャリアを振り返って「成功体験」を掘り起こします。そして何年も前に挙げた実績を、面接で誇らしげに語ったりします。これも残念ながら相手企業には響きません。なぜなら、今、過去の成功例にならって同じことをしても、同じ成果を挙げられるわけではないのです。
 ITやネットがどんどん進化する中、販促にしても広告にしても、以前のやり方では通用しなくなっています。つい昨日まで使っていた商品サービスも、新しい技術が開発された瞬間に陳腐化してしまうのです。変化のスピードが非常に早くなっているのです。
 そうした時代背景から企業の採用ニーズも変わってきました。「今は1の状態のものを2,3に拡大してほしい」というよりも「ゼロから1を生み出してほしい」というニーズが高まっているのです。特にリーダー、マネジャー、あるいは経営幹部候補を求める採用では、この傾向が強く表れています。
 皆さんが、今後転職を通じてキャリアアップを目指すのであれば、「0→1」の経験を積むことを意識してみてはいかがでしょう。これまでと異なるターゲットを開拓する、他社が行っていないサービスを企画するなど、自分自身の職務の範囲内でも新たなチャレンジは出来るはずです。思い切って自分から手を挙げ、新規プロジェクトの立ち上げを提案してみてはいかがでしょうか。そこには、自らの時間とお金を投資する覚悟が必要ですが、きっと人生においての見返りは大きいはずです。

企業は成功体験だけでなく失敗・挫折の経験を聞きたがっている


 転職活動では、優秀な人材として認められたいがために「成功体験」ばかりを語ってしまいがちです。ところが、成功体験よりも失敗や挫折の経験の方が高く評価されることこともあります。壁にぶつかったり、挫折したりした時、それをどう乗り越えたか、その結果何を学んだかに、企業は注目している場合があります。
 転職して新たな環境に飛び込むと、多かれ少なかれカルチャーショックを受けるものです。前の会社では常識や経験が通用せず、自信を打ち砕かれてしまうことも。そんなギャップに悩んだ時も、正面から受け止め、克服していけるかを企業は気にかけています。その点挫折を乗り越えた経験によって、困難に対する免疫力や立ち向かう姿勢が身についていると判断できれば、企業も安心して迎えられるというわけです。
 転職を望むのであれば、過去の失敗や挫折から目をそらすことなく、しっかり向き合ってみてください。それがどのように自分の成長につながっているかを見つめなおしておくと良いでしょう。

面接時にやってはいけないこと

在職、前職の不満を話す
 :他人のせいにしている者は、新しい職場においても必ず他人のせいにします。
  面接官は何十人、何百人と見てきています、まず採用されないでしょう。

成果を出していない状態での条件交渉
 :これくらい成果を挙げたら、後にいくらUPしてほしいというのは大変良いでしょう。
  しかし、前職よりUPしての入職の場合、その分採用者は大きな期待をします。
  それに応えれるだけの実績を残せば良いですが、残せなかった場合どうなるでしょう?






 
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