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濵出 昌子さん

目黒区高次脳機能障害者家族会

目黒区身体障害者相談員(高次脳機能障害)

 

周囲の人が、さりげなくご本人の活躍できる場所を作る体制が必要だと思います。

 

 -濵出さん、こんにちは。濱出さんが目黒区高次脳機能障害者家族会を立ち上げられた背景を教えてください。

私の娘は高次脳機能障害です。

高次脳機能障害という障がいは他の人から見ても、医療の専門職の人から見ても非常に分かりにくい障がいです。実際、私達も病院等をたらい回しにされた経験があります。

運良く、目黒区に高次脳機能障害者向けの施設があり、そこで娘が高次脳機能障害だということが分かりました。でも、その時正直ホッとしました。少し矛盾しているかもしれませんが、「単に娘がわがままを言っているのではない事」が証明されたのです。

その施設で同じ境遇の家族の方とお会いすることはありましたが、挨拶くらいしかコミュニケーションがありませんでした。

色々苦労してきたこともあり、「この方々はどんな想いでいるのだろう」「みんなと話してみたい」と思ったことが、立ち上げの背景でありきっかけです。

 

-高次脳機能障害は専門職でも分かりにくいのですか。

はい。分かりにくい障がいだと思います。一見すると、障がいのない人に見えますし、高次脳機能障害にも色んな症状があるのですが、コミュニケーションを取らないと分からない事も多々あります。そのような障がいですから、一般的認知も低いですし、高次脳機能障害は専門職でも気付きにくいということは、家族ももちろん診断されるまでは気付くことが困難です。ですので、病院から家に戻り、そして仕事をしてから気付く事もあるため、どこに行けば助けてもらえるのかが分からない事もあり、病院と地域の連携もあまりなされていないのが現状です。

また、高次脳機能障害は脳血管疾患が原因の一位です。その他、交通事故や難病など様々な脳の損傷から起こりますので、年齢層も幅広いと思います。

介護というと高齢者の方を思い浮かべると思いますが、高齢者だけではないということも皆さんに知ってもらいたいと思っています。

 

-家族会の概要について教えてください。

はい。現在、立ち上げから5年目で、実質約30人の方に参加して頂いています。

会員は40~60代の方が多いです。

年会費は、1口1000円以上で、MSWやPT、OTさん、一般市民の方々にも賛助会員として支援して頂いています。

定例会を偶数月の第三日曜日に実施しており、その他にもバーベキューや手作り教室なども実施していますし、通信『いぶき』も発行しています。

定例会では、「人の話を聞く」「自分の話をする」ということを大切にしています。

最初はうまく話せない人も多かったですし、人の話を聞けない事もありますが、会を重ねてくうちに本当に皆さん良いコミュニケーションを取っていると思います。

また、家族だけでなく当事者も参加下さることもあり、今後、新たに当事者会も出来ていくと嬉しいなと思っています。

 

※家族会では、手作り教室など様々なイベントが開催されている

 

-家族会以外の方も定例会やイベントに参加されることもあるのですか。

はい、あります。初めて参加される方は、「皆さんこんなに話されるのですね!」と驚かれます。今後も様々な方と一緒に会を盛り上げていきたいと考えていますし、医療・リハビリ専門職の方にもご参加頂きたいです。

 

-会に参加されている方は、どんな背景や想いを持たれて参加されるのでしょうか。

色んな背景や想いを持った方がいらっしゃいます。

家族会に参加するまで、5年を要した人もいます。病気や障がいを認めたくないことや、人に話したくない人もたくさんいますからね。でも続けて参加するうちに、皆さん家族と共に会での役割を見出して下さり、一緒に活動するようになっていきます。

やはり、定例会でもその他の活動でも、会員の方の得意分野をみんなで理解して、役割分担しながら様々な活動をしていくことは重要だと思います。

 家族会に参加されている若い方が、当事者が当事者を支援する体制を構築したいという想いを持たれていて、「障がいを持って良かった。不便な事も多いけれど、人間として成長できた。」と、非常に前向きな考えを持っていらっしゃいます。

この方が前向きになれたのは、雨の日も風の日も、高次脳機能障害専門の施設に車いすやバスに乗って通い続けた本人の努力と、お母様の前向きな気持ち、そしていろいろな方と繋がることができる場所があったからだと思います。当初はこの方も様々な悩みを抱えていらしたと思いますが、現在は積極的にリーダーシップを発揮して会にも参加して下さっています。

 その他、5年間の間には、復職なさった方、結婚された方もいらっしゃいます。

 

-素敵な会ですね。家族会の理念は何でしょうか。

ずばり、「楽しく」です。

「楽しく」を理念にしつつ、様々な活動を行っています。

例えば、現在、会のみんなで目黒区のマップを作っています。みんなが普段通っている病院や施設を共有するためのマップです。

他にも、地域包括や医師会にみんなでリーフレットを配ったり、声楽のコンサートに当事者と共に参加しています。“声楽の練習の場所に行くこと”“練習すること”“発表し達成感を味わうこと”その活動の全てがリハビリそのものだと思います。

高齢者も子供も街の中で生きています。ですので、イベントや普段の活動を通じて、みんなが繋がり合える機会が今後も必要だと思います。

そのためには、周囲の人が、さりげなくご本人の活躍できる場所を作る体制は必要です。

家族会は、そういうことを無意識にされている方が多いと思いますね。

もちろん、私もメールのやり取りや実際にお会いして、それぞれの会員の方を自分なりに把握していますが、バーベキューなどのイベントでは、参加者がご自身や他の人の得意分野を相互に理解して、個々人が大活躍しています。

 

-なるほど。家族会に入ろうと思ったきっかけとして多いのは何でしょうか。

施設がご家族に声掛けして下さって、行ってみようという人は少なからずいます。

ただ、やはり「このままじゃだめだ」とか「こうなりたい」という意識を持った当事者やご家族の方が“楽しんで”参加されていると思います。

一方で、とりあえず行ってみようという感覚で来られた方も、家族会で意気投合する方に出合って、そこからずっと参加して下さっている方もいます。そういうきっかけを提供できるのも家族会の良い点だと思います。

 初回参加時は「変わりたい」という意識を持っていても、2回目からは、「何でも話せるから」「ホッとできるから」「楽しいから」という動機が加わることも多いと思います。自分の家族や親戚には分かってもらえないことも多いため、家族会でお話しを聞いたり話したりできるのは良い機会だと考えています。

 

-濱出さん、ありがとうございました。今後も素敵な会を色んな方と一緒に盛り上げていってほしいと思います!今度バーベキュー参加します!

 

 

 

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