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塩田 洋子さん

職種:ケアマネージャー(資格:)

キャリア年数:

 

ケアマネージャーの本質は、利用者さんが、まず自立できるようにするために検討・支援することです。

 

良いケアマネージャーとは、利用者さんのために手間をかけられるケアマネージャーです。

塩田さん、こんにちは。塩田さんはX年以上ケアマネージャーをされていますが、良いケアマネージャーとそうでないケアマネージャーの違いはどこにあると思いますか。

もちろん、人対人の話なのでフィーリングが一番重要だとは思います。ただ、私個人が考える良いケアマネージャーの定義を申し上げると、まずは、一方的に話すのではなく、利用者さんの話をきちんと聞く事ができるという点が挙げられます。

長年ケアマネージャーをやっていると、利用者さんの状況を聞けば、ある程度どこに課題があるか、課題解決方法は何かという仮説を作る事ができるのですが、まずは利用者さんの考えや想いを聞く事が重要です。

なぜなら、利用者さんが話しやすくなるというだけでなく、本当の課題が見つけやすいからです。当たり前の話かもしれませんが、会話のキャッチボールをし、利用者さんのニーズを拾い、それを要約・確認し、アクションに落としていける人が良いケアマネージャーと言えると思います。

 もうひとつは、“手間をかけることができる”ケアマネージャーです。

私は、現場で発生した課題や依頼があれば、持ち帰らずにその場で解決するようにしています。私の携帯には相当な数の番号が登録されていますよ(笑)

特に退院カンファレンスの時間は絶対に惜しみません。退院カンファレンスは利用者さんの想いや状況を聞くことができる重要な場ですので、私はカンファレンスの後に予定を入れないようにしています。逆に言うと、30分や1時間しか時間を取っていないケアマネージャーは、退院カンファレンスがそのくらいの時間で終わるであろうと思っているので、そういうケアマネージャーには全てを任せる事はできないのではないかと個人的には思います。

 また、介護者さんや利用者さんは初めて見る福祉用具も多いはずですので、在宅に戻ってもスムーズに福祉用具を活用できるよう、退院前に福祉用具を病院に持ってきてもらうこともあります。さらに言えば、車いすや杖などの専門家は理学療法士なので、理学療法士と連携して、利用者さんへアドバイスをします。そういった事業者様や専門職との信頼関係の構築ができているというのもケアマネージャーを選ぶひとつの基準になるとは思います。

ただ、これは病院のケースなので、もともと在宅で介護をしている方の場合だと、訪問リハビリテーションが介入していない限り、理学療法士からのアドバイスを求める事はできないので、ケアマネージャーもある程度の知識を付ける必要があると思います。

 

あとは、会話の中での“ちょっとしたひと手間”も重要です。

 

例えば、利用者さんから「デイサービスの送迎の時間が少し早いのですが・・・」という依頼がきた場合、「では、遅くしましょう。」と安易に対応するのではなく、「なぜ早いと思いますか?」と理由をきちんと聞きます。これは先ほどの利用者さんの話を聞くという事とも関連するのですが、会話を深堀りすると、利用者さんの生活リズム等も把握できるのです。

「なぜデイサービスの時間が早いと思うのですか?」から始まって、「何時に起きるのか?」「何時に寝るのか?」という会話にまで発展しますよね。そうすると利用者さんが「家族が23時に帰ってくるので、寝るのが遅いのです」「でも火曜日は孫が来るので、火曜日は寝るのは早いです」という生活リズムの状況を聞く事ができます。

 

状況を知る事で、「火曜日にお孫さんが来ているのであれば、一緒にどこかにいけるようにリハビリしませんか」という風に、我々は新たな問題解決の糸口を見つける事ができたり、新たなご提案ができたりするのです。

また、「23時までは家族がいないので、何かあったときは対応できる準備をしておこう」という風に適切な準備をすることもできるのです。

 

なるほど。会話の手間をかけるというのは重要ですね。他に利用者さんの本当の課題を抽出する中で、塩田さんが意識されていることは何ですか。

利用者さんに課題のイメージをもってもらうことも重要です。

例えば「何か困っていることがありますか?」など、答えにくい質問はしません。

私は必ず、利用者さんの1日の過ごし方から聞きます。

朝起きて、トイレに行き、ベッドから起き上がるという動作の中で、例えばベッドから起き上がる時、トイレで便座に座る時に困ったことはないか、その時に家族はいるかなど、具体的に話を聞くようにしています。また、他の人の事例も挙げながらお話しする事で、より具体的なイメージを持ってもらう事ができます。

「トイレ内での動作が難しいが、トイレが狭くて手すりを設置できない」という話が出てきたら、具体的な福祉用具の紹介や住宅改修の紹介を行うのです。

 

 

ケアマネージャーの本質は、利用者さんが、まず自立できるようにするために検討・支援することです。

 ケアマネージャーやケアプランの本質を教えてください。

私は元々、訪問介護の介護士でした。利用者さんのご家庭ごとに独自のルールが存在するので、介護士として利用者さんのご自宅に入らせて頂く大変さも経験しました。

利用者さんから本当に訪問介護を求められている場合、利用者さんと介護士は非常に良い関係を構築できるのですが、ケアマネージャーの、「なんとなく必要だと思うから」という一存で訪問介護が介入する場合、介護士の立場も厳しくなります。

ケアマネージャーが、“なぜ”訪問介護をケアプランの中に入れるのかということが大切です。

ケアマネージャーやケアプランの本質は、利用者さんが自立できるようにするために検討・支援することです。利用者さんが掃除をできないのであれば、掃除ができるように身体機能の維持・向上や環境作りを整備していく事を、先に考える必要があるのです。

 

利用者さんが「転ばないように歩きたい」と言えば、「介護士に補助してもらいましょう

」と安易に考えるのではなく、転ばないようにするための福祉用具を提案したり、訪問リハビリテーションをケアプランに入れたりする等の考えが必要だと思います。極論すると、個人的に訪問介護を提案するのは最後の手段だと考えています。もちろん、本当に訪問介護が必要な人もいますから、状況を見極めた上で訪問介護を提案する事も重要です。つまり、検討する順番が大切という事ですね。

 

 

色んな人の立場になって、提案する事も重要です。

 なるほど。一方で、利用者さんご本人の要望と、ご家族の要望が相反するケースもあるとは思いますが、バランスを取るために意識されている事はありますか。

先程の自立支援の話ですが、もちろん全員が自立したいと思っているわけではありません。

自立したいと思う人もいれば、寝たきりで良いと思う人もいます。

ある事例で、認知症のご主人をもつ奥様がいました。

ご主人は徘徊が始まり、家に帰れなくなる事も多く、ある日近くの駐車場で体中傷だらけで倒れていたそうです。結局寝たきりになった後に、私が担当し、色々ご提案させて頂いたのですが、奥様は「寝たきり“が”いいんです。自立するとまた徘徊するから。」と仰っていました。

でも、それは奥様側立場のご意見なんですよね。

だから、ご本人の立場にもなって、寝たきりになるのなら、せめて床ずれ・拘縮しないようにしようと考え、色々ご提案しました。一方で、奥様側の立場も尊重する必要があるので、訪問診療等をご提案したりしました。

単なる御用聞きになるのではなく、バランスと状況に鑑みた上で、提案していく事が重要だと思います。

 

そういう意味では、経験が最も重要になるのでしょうか。

いえ、知識と経験は後でも良いと思います。最も重要なのは、利用者さんは何を求めていて、何に悩んでいるのかを汲み取る力が重要です。先ほど申し上げた聞く力に加え、利用者さんに興味を持つことが必要だと思います。

一方で、利用者さんの経済状況も加味する必要があるので、保険の上限やサービス料などの知識は必要だとは思います。

あとは、介護サービスだけでなく、訪問診療や訪問歯科は医療保険ですし、実際に医療サービスを必要としている利用者さんもたくさんいるので、医療の“観点”も必要です。

例えば、訪問看護の看護師と訪問入浴の看護師は、できる医療行為の範囲が違います。そういう事を知らずに、ケアプランに入れてしまうとトラブルの原因になりますので、最低限きちんと利用者さんに説明できる知識は必要ですね。

 

 

 

 

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