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中川 俊明 先生

職種:理学療法士

キャリア年数:11年

勤務種別:株式会社ネプシス(デイサービス運営会社)社長附

 

色々な業種の人と関わりながら、利用者さんにより良いサービスを提供していきたい。

 

中川さん、こんにちは。中川さんは以前病院で勤務されていましたが、現在、介護領域でお仕事されています。介護領域に来られたきっかけは何でしょうか。

理由は2つあります。

ひとつは、私も大学時代祖父母の介護を経験したので、その経験を理学療法士として社会に還元したかったからです。

もうひとつは、もともと病院勤務の理学療法士でしたが、理学療法士としてできることに限界を感じたからです。

病院では、もちろん理学療法士として成長はできますが、経営的な視点や社会一般的な視点は、本人の強い意思がない限りは、なかなか身につけることができる機会が多くないのが現状です。

介護業界をより良くしたり、自分を多面的に成長させるには、介護の領域、とりわけ株式会社に転職することが必要と感じたのです。

 

なるほど。では、中川さんの現在の業務とネプシスさんの事業を教えてください。

はい、理学療法士として、高齢者の方々と一緒に、在宅でも健康に生活できるようなリハビリテーションをしています。

弊社はリハビリ特化型のデイサービスを運営しておりまして、計4施設展開しています。

4施設のうち、2施設が1日型、もう2施設が半日型のデイサービスです。

一日を通してリハビリできる環境を整備しており、本当にリハビリをしたいと言って来てくださる方が多いですね。ですので、一般的なデイサービスは女性の方が多いですが、弊社は7:3で男性の方が多いです。

リハビリ特化型のデイサービスのため、リハビリがしやすい機器等も充実していると思います。機能訓練にも活用できますし、廃用の方が持久力をつけたり、足を動かすことを再学習したりしてもらうことができます

何を行うにしてもリハビリという概念を利用者さんにも持ってもらう事が運動の動機づけにもなっています。

私のような理学療法士だけでなく、生活全般を見ることが得意な作業療法士も在籍しているので、移動だけでなく、食事・排泄・入浴等にもアプローチすることがでます。

 

私自身の業務としては、リハビリだけでなく新規サービスの企画や立ち上げも行っております。

 

新規サービスの企画も行われているのですね。病院勤務の時と比べて、大きなマインド・スキルの変化はありましたか。

最も変化したことは、視点が変化したということですね。

徹底的に利用者さん視点に立って物事を考えられるようになったと思います。

理学療法士として病院に勤務していた頃は、言い方は悪いですが、私自身、自己満足な所も多かったのです。例えば、腕を動かすことができる角度が5度改善する事こそが重要だと思っていたのですが、利用者さんの視点に立つと、その5度が、利用者さんの生活にどの程度良い影響を及ぼしているか、どのように生活が変化したかが重要なわけです。

もちろん、腕を動かすことができる角度を5度改善させることは重要なことです。しかし当時はその5度が、どの程度利用者さんの満足度に繋がるのかということは分かりませんでしたが、現在は利用者さんの生活にどう結びついているのかを理解でき、常に利用者さんの視点で物事を考えられるようになりましたし、介護領域で働く事によって、その効果を間近で認識できるようになりました。

 

理学療法士でサービスの企画をしている方は少ないと思いますが、ご意見をお聞かせください。

はい、介護領域のみならずヘルスケアの領域でも新規サービスの企画をしています。

理学療法士が、いきなりサービスの企画をすることは難しいので、思考の変換が必要です。

 私は、病院で9年勤務していましたが、その間に思考の変換を行ってきました。まず、思考を変えるためには様々な業種の人たちと知り合い、話すことが重要です。

私自身、今も他業界の方からインスパイアされている部分が多くあります。

 あとは、まず自分たちの置かれている環境を理解することから始めなければならないと考えています。

病院で、理学療法士をはじめとしたセラピストの加算・収入は構成比でいうと、わずかであることもあり、病院によりますが、少なくとも私のいた病院では、理学療法士の地位は相対的に低いものでした。加えて、病床数の減少や、点数の低下、単位の包括化など、理学療法士を取り巻くマイナスの状況を理解し、次のアクションを起こしていくことが肝要だと思いますし、一般社会人としての知識は最低限必要だと思います。

 

また、最近、地域包括ケアという言葉をよく耳にします。地域包括ケアという概念は多くの人にとって素晴らしいシステムであり、このシステムが確立する事によって高齢者や地域住民の方々がお互いに助け合い、協力する事によってより良い街作りになると確信しておりますが、理学療法士という職種のみの観点から申し上げますと、地域包括ケアにおいて介護保険下のみで動こうとすると、職域拡大になることはあっても、ボランティアに近い部分があるので収入源は相対的に低下していくことになると想定されます。ですので、「みんなが地域包括ケアというから、とりあえずやろう」ではなくて、その中で理学療法士一人ひとりが本当に活躍できる分野や、利用者さん・地域住民の方々のために本当に役に立つことは何なのか、そして同時に理学療法士業界を更により良くしていくことを真剣に考え、アイディアを出していく事が重だと思っています。またそのあたりのアイディアは他業界の人が持っていることも多いため、色んな職種の方と関わっていくことが重要だと思います。

 

一方で、私も回復期病院に勤務していましたが、セラピストとしての道を極めたい人には病院は最適だと思います。

 

他業界の方と積極的に付き合っていこうと思われたきっかけは何ですか。

以前勤務していた病院に、尊敬している先輩から教わった事がきっかけですね。

7年間ずっと彼に付いていきました。もちろん今現在も、お付き合いをさせていただいております。

彼は、セラピストとしての知識・技術はもちろん一流だったのですが、それだけでなく、どの業界の方とも対等に話せる知識や、他業界の方々とのネットワークを持っている方で、色んなことを勉強させていただきました。当然ですが、色んな業界・価値観の方とお会いすることによって様々な知識・知恵を吸収することができます。様々な業界の方が、知識・知恵を持ち合って、最終的に利用者さん・地域住民の方に還元していきたいですね。

セラピストとしての知識だけでは生き残ることができない時代がきているとも思います。

 

ありがとうございます。中川さんも介護のご経験があるとお伺いしましたが、最後に介護している方へのメッセージ・アドバイスをお願いします。

私は理学療法士の学校に入学する前に、4年生の大学に通っていましたが、大学生の時に祖父母の介護をしていました。昼間は母が介護し、夜中は私が介護(とりわけトイレ介助)していました。祖父母が排泄したくなったら、ボタンで私に知らせるというルールで介護していたのですが、一度、私が寝過ごして、祖父が膀胱炎になったことがありました。

そのように一度寝過ごしただけで、病気になってしまうリスクもあるため、24時間休めないのが介護だと思います。

そのような大変な日常を過ごされている皆様に申したいのは、どこかで妥協してもいいし、誰かに頼っても良いということです。

一人で抱え込んでしまうと必ず自分を追い詰めてしまうので、助けを求めても良いし、自分の時間を作るために介護施設に預けるということも時には必要です。それは悪いことではないということを分かって頂きたいと思います。ご家族はもちろんのこと、私たちのような専門職に是非頼っていただきたいですし、そのために私たちが存在しているのです。

ご本人と介護する人との関係も、時には距離を開けること、誰かに頼ることによって、より良くなることもあると思います。

 

 

 

 

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