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堀切 康平先生

職種:理学療法士(リハビリの先生)

株式会社リハビリの里 取締役

 

愛着のある地域の中で生活リハビリの拠点をつくる

 

-早速ですが、お仕事の内容を教えてください。 

生活リハビリの実践を強化したデイサービスや訪問リハビリ看護ステーションを埼玉県の越谷市で経営しています。

 

-越谷リハビリケアセンターについて詳しく教えてください。

日々の暮らしから不自由さが少なくなるような生活リハビリ、つまり、立つ歩く機会を増やす、生活する範囲を拡げるといった、立つ歩く生活が充実することを目的としたデイサービスです。

歩行練習を例にしますと、センター内のバリアフリー環境において“できる能力”の開発を目的とした練習と、センター滞在中の時間を通して、“している能力”を“できる能力”に近づけることを目的とした実践練習の両方を行っています。また、閉じこもりから脱却するという意味で、天候の良い時は外にでて屋外歩行の練習をします。アスファルト上の練習もあれば、悪路つまり、傾斜があるところ、砂利道、凸凹した路面上での練習など、すべて個人の能力に応じて路面、距離からたくさんのパターンの練習を設けています。

 

-どのような方が対象で、通われて最も効果を感じられるのはどのような方でしょうか?

ご本人、ご家族の両方から「自分で起き上がれない、自分で立てない、自分で行きたいところに行けない、楽に生活できるようになりたい」といった訴えから利用が開始することが一番多いです。

対象となるケアプランは様々ですが、「手伝えば、立てる、歩ける」という状態の方に関しては、ご利用いただくことで自宅での生活が劇的に変わると思います。

また、1日タイプのデイサービスでは、7時間以上の時間を有効に使い、過負荷に配慮した上で実践練習に取り組めるといった点で、中重度要介護認定者に対する基本能力の底上げに向いていると考えています。

 

-リハビリにこだわったデイサービスを立ち上げられた背景を教えてください。

実は10年ほど前から起業の構想はありました。当時は回復期病棟で責任者として勤務していたのですが、介護保険もまだ十分には定着していない時期で、入院患者さんの介護保険への円滑な移行、在宅復帰の支援、つまり退院前の家屋改修や外出、外泊の練習を通してご家族の介護方法の習得度のチェック、そういった取り組みを回復期病院で担っていました。 しかし、自分の仕事は患者さんの心の声に十分に応えられているのか、退院2か月前には家族介護指導、1か月前に家屋改修の準備に向けた外出・外泊練習をするという、病院のシステムに応じた声かけになっているのではないかという葛藤が芽生え始めました。病院の在院日数の短縮という流れは当時すでに始まっており、その中で、身体機能能力の回復や介護保険領域への移行準備と障害受容といった心理面のケアの両立といった点で、医療機関で働く限界を感じ、起業しました。

 

-どうしてデイサービスをご自身の最初の事業として選ばれたのですか?

病院勤務を通して、介護する側とされる側、キーパーソンであるご家族とご本人のニーズや希望が一致しないケースを多々目にしてきました。新たな家族関係の構築のためにも、両者を支えなければ一つの家族は支えきれないと考え、ご本人とご家族の両方支えるサービス基幹的サービスとして通所サービスを選びました。通所リハビリでは、20分のマンツーマンリハビリがありますが、それ以外の時間では十分な対応がし難いところがあるため、1日タイプでリハビリ専門職が配置されたデイサービスとなりました。

 

-訪問看護、訪問リハビリも行っておられるとのことですが、住環境、住宅改修についてお気づきに点をおしえてください。

病院から退院する際に住宅改修を行うことが一般的になりましたが、病院退院時の状態とその後、廃用症候群等でレベルが下がった、または生活そのものがだんだん良くなってくるなど、能力の変化は当然ほとんどの場合に起こります。能力の変化に対して定期的な住環境の見直しが追い付いていないケースが見受けられます。

住環境の見直し、調整に関して、病院のリハビリ専門職は多く関わっているものの、退院後の地域にはリハビリ専門職が少ない為、関わる機会がほとんどない印象があります。

介護認定の変更や更新の際に、住環境の見直しや自宅における過ごし方の再検討などにおいて、地域のリハビリ職も関わっていく必要があるのではないかと思います。

装具も同様に、身体に合わなくなっているケースも多くあります。 環境をみるということも、医療機関に依存しない地域のリハビリの力が必要になってくると思います。

 

-今後の抱負をお聞かせください。

2001年にPTになり、2014年に起業しました。医療機関に身を置いている間に感じた疑問や課題に対し、自分なりにこうあるべき姿を模索し、様々な形態でサービスを地域の中に生み出していきたいと考えています。同じコンセプトのデイサービスの出店を続けるのではなく、各ご家庭に対応できるように、同じ地域の中でリハビリを核としながら異なる特色を追求し多様な事業を展開していきたいと思います。

またそうした取り組みは、効果があるとされた研究結果に基づいて行われるべきだと思うのですが、地域、生活期の研究が少ない点も問題だと考えています。

セラピスト自体の数も、研究の数も現状では医療機関、教育機関に偏っています。

本来、目の前の患者、利用者さんと向き合って、もっと効果的な方法はないかという動機からスタートされるべきだと思います。

病期の観点からすると生活期が一番長いので、研究方法を学んだ人たちが研究室にこもっているのではなく現場にいながら、利用者さん、家族の前でサービスを提供する現場の一員でもあるという状況を地域の中でもっと多く作り出したいと考えています。

 

 

 

 

 

 

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