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Y.M 先生

職種:理学療法士(リハビリの先生)

勤務種別:訪問リハビリ

 

「病気や要介護になる前の姿や生き様をまずは理解したいと思います」

 

―いまのお仕事を教えてください。

現在、訪問リハビリという分野で働いています。

訪問看護ステーションを拠点に、自転車やバイクで各ご自宅に伺い1時間程度マンツーマンでリハビリを行います。

 

対象はご高齢の寝たきりの方から復職を目指す方まで様々です。

理学療法士として、ベッド上でのストレッチからトイレ動作などの練習、歩行訓練や車椅子とベッドの移乗、また寝たきりであっても褥瘡(じょくそう:床ずれ)ができにくい姿勢の検討や車椅子の導入など、一人一人に合わせたプログラムを考えています。

 

―介護者であるご家族のお困りのケースにはどういったものがありますか?

リハビリ専門病院では数ヶ月にわたり毎日2~3時間の訓練を行われます。しかし退院し自宅に戻られると急にそのリハビリが途絶えてしまいます。リハビリが急になくなることに不安を感じられるご家族は少なくありません。こういったケースではうまく訪問リハビリを活用していただければと思います。

 別のお困りごととしては、

『徐々に弱くなってきて外出をせず、閉じこもりがちになっている』『最近転倒を繰り返している』というものです。これは訪問リハビリを開始するきっかけとしても非常に多い話です。

年齢を重ねるにしたがって起こる自然な変化のひとつではありますが、明らかに生活動作ができなくなってきている現実に、どのように対応すればよいのかわからないといったお悩みです。

 

また中には、自宅へ訪問リハビリや看護、ヘルパーなどのスタッフが出入りすること自体に苦痛を感じる方もいらっしゃいます。これはご本人だけでなくご家族も同様で、社会資源利用に二の足を踏むご家庭も少なくありません。

 

 ―病院や介護施設以外で理学療法士のできることを教えてください。

ご家族、ヘルパー、ケアマネへの介助指導が可能です。体の使い方、つまり具体的な移乗方法や入浴介助の方法、またあまり力を使わず(うまく身体をつかって)介助する方法や利用者本人の身体機能を活かした介助の方法をアドバイスすることは理学療法士のもっとも強みが発揮されます。

 

―介護負担を遅らせる、または介護負担軽減のためにどのようなことが重要でしょうか?

「できるADL」と「しているADL」という言葉をリハビリ専門職はよく用います。

これは病院などの評価・訓練の際の能力と、実際の生活で実行している能力の2つのレベルが異なることを意味しています。

この「できるADL」と「しているADL」の差をきちんと把握して、その原因を明らかにしていくことが、介護負担を遅らせるあるいは負担軽減の上でも重要だと思います。

ご家族のみでこれを把握することは非常に難しいので、理学療法士、作業療法士の知識をうまく活用して頂ければと思います。

 

ADL( activities of daily livingの略)とは、食事・更衣・移動・排泄・整容・入浴など生活を営む上で不可欠な基本的行動を指す。基本的日常生活動作

 

―印象に残っているケースを教えてください?

ある80代の女性が印象に残っています。

自宅内で転倒を繰り返しているものの、同居する娘さんは仕事があるため日中は独りで過ごされる方でした。訪問リハビリ開始時は他人が自宅に来ることや社会資源利用に対して強い拒否を示され自宅に籠っていましたが、ケアマネージャーの強い説得によりリハビリを開始。その後徐々に訪問リハビリの受け入れが良くなり、住宅改修や福祉用具レンタル開始、またそれら同時に身体機能も改善され屋外歩行も可能となりました。その後ヘルパーやデイサービスの利用も開始となり、目標達成と判断しリハビリは終了しています。

拒否的だったご本人からまずはケアマネとPTが信頼を得て、介護者である娘さんのお仕事に大きな影響を与えることなく、社会資源をうまく利用することで目標までたどり着けたケースでした。

 

別のケースではこんな方もいらっしゃいました。

室内で転倒を繰り返していた80代女性。ふさぎこみがちでしたが、料理や手芸が趣味であることから、屋外歩行訓練の際には近隣の店で趣味に関連した買い物をすることで趣味への意欲を取り戻していきました。また屋外へ出ることで基礎的な体力が向上し転倒も減り、日中は仕事で不在の息子さん夫婦のために一部簡単な家事を担うことが日課となりました。特に女性の場合は周囲の人の為になることに対して意欲が高いようです。

 

―リハビリ専門職として大切にしていることは何ですか?

高齢の方の病気や介護になる前の姿や生き様を理解することを意識して仕事をしています。多様な利用者さんときちんとコミュニケーションがとれるように専門以外の教養を深めることを心掛けています。

 

―介護者へメッセージをお願いします。

訪問リハビリは天候や体調に左右されず、また送り迎えの必要もなく利用できます。リハビリを通して、ご家族・ご本人と一緒に過ごす時間が多いため、ケアマネージャーよりも情報収集ができる部分も多々あります。ご家族の日々のお困り事を伺い、その場で対応し解決できる場合もあります。

 

 

 

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