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横山 政和先生

職種:理学療法士(リハビリの先生)

勤務種別:リハビリ特化型デイサービス

経験年数:8年目

 

 専門職が持っている疾患知識を、介護者へ伝える事により介護負担軽減へつなげたい

 

―いまのお仕事を教えてください。

3年前から、リハビリ特化型のデイサービスで働いています。その施設で理学療法士として集団トレーニングではなく一対一の個別リハビリテーションに携わっています。前職では、クリニックの外来や訪問リハビリにも携わっていました。

 

―介護者であるご家族のお困りのケースにはどういったものがありますか?

介護によって、介護をされているご家族自身が腰や肩、腕を痛められるケースが見受けられます。特に、体が小さな女性が、体格の良い男性を介護する際におこりがちです。 介護が原因で介護する側が体を痛めてしまい、それでも介護をやめるわけにはいかず、体の不調を抱えたまま悪循環の中で生活をされているご家族がいらっしゃいます。

 

―どんな助言をされますか?

介護および介助には、基本的には力は必要ありません。体の作りと使い方、テコの原理、支点・力点を考えると、力が弱い方であっても、体の大きい方をそれほど無理なく介護・介助することは可能です。

介助方法に関しては、リハビリのプロである理学療法士や作業療法士に、介護の方法は介護のプロである介護士にそのコツを是非聞いてください!

 

―その他に、ご家族のお困りごとでよくある相談はどんなものがありますか?

どの程度、介護・介助すればよいかが分からないという相談もよくあります。やりすぎではないか、あるいはもっとやってあげたほうがよいのかをご家族は迷われるケースが多々あります。

出来る動作・作業であるにも関わらず、手伝い過ぎてしまうと、やらなくなり出来なくなってしまいます。かといって、出来ないことをすべてやらせてしまうと、介護される側はイライラし、精神的ストレスの増悪や、片麻痺の方であれば、麻痺側の筋緊張亢進等、違う問題が生じる可能性があります。

ポイントは何ができなくて、何をどこまで手伝うと出来るかを発見することです。日常生活動作は全てがリハビリテーションになります。可能な限り出来ることは自身で行ってもらうことによって、どの程度の手伝いが必要なのかも見えてくると思います。

 

―具体例をあげていただけますか?

買ったばかりのペットボトルがあるとします。ふたが完全に閉まっている状態で開けることができない場合、一度ふたをひねり完全に閉まっている状態でなくし、そこからは自分でやってもらう。それができるようであれば、もう少しきつく締めた状態で渡し、そこから開けてもらう。このようにすることで、どの程度であればできるのかが分かりますし、リハビリテーションにもなります。ボトルはおさえるので、開ける作業は本人にお願いするのも良いですね。

 

―訪問リハビリもされていたそうですが、住環境や住宅改修に関して、何か気になる点はありましたか?

ご自宅に伺った際に、手すりがたくさんついているものの、その手すりを使わない、使えないというケースが見受けられました。

住宅改修を考える際に理学療法士をまきこむことができれば、手すりの本数が減ったり、使わない手すりは減らすことができると思います。

理学療法士は動作の専門家ですから、この動作をするためにはどのような手すりが必要か、ここに手すりを設置したらどんなことができるようになるかを、身体状況に照らし合わせて考えることができます。必要に応じて住宅改修を行うことで、活動範囲が広がり、困難であった動作が円滑になったりします。本当に住宅改修が必要かを含め、無駄のない住宅改修を検討することで、介護量、介助量の軽減に繋がる可能性があります。

 

―印象に残っているケースを教えてください。

独居高齢男性のケースです。

エレベーターのない集合住宅の7階に一人で暮らしておられました。

骨盤骨折を5年ほど前に受傷され、外科的治療とリハビリを終了してから数年が経過していました。

「杖がないと前に倒れそうになって危ない。杖があっても怖くて足を出すのが大変だ。自由に外を歩けるようになりたい。」との訴えがありました。

評価の結果、歩くための練習ですが、歩くという動作を取り入れず、問題点を解決するための運動療法を3か月ほど実施しました。

その結果、どんな時も杖!杖!といっていたその方が、3か月後には「歩くことに不安がなくなったから、杖を捨てたよ」と言われ、怪我をされて以来はじめて8年ぶりに公共交通機関を利用して帰郷されました。歩行能力の劇的な改善はもちろんのこと、帰郷の思い出を興奮して話される姿が強く印象に残っています。

 

―専門職としてどんなことを大切にして仕事をされていますか?

理学療法士としては基本ですが、評価と説明を大事にしています。

また、診断は医師にしかできませんが、疾患に対する知識は教育をうけているので、既往歴、現病歴をふまえ、ご本人やご家族がつい見過ごしがちな点やさほど重要視されていない症状の指摘を通して、医師に対する訴え方をサポートするようにしています。「もし、今後このような状態を感じることがあったら、担当医の先生に報告してくださいね」といった伝え方をすることがあります。

 

―介護者へのメッセージをお願いします。

私が出会ってきたご家族の中で介護に負担を感じられている方に多かった特徴は、要介護者の患っている疾患について十分に理解されていないということ、要介護者の身体機能の現状を十分に把握されていないことです。

担当の医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護士、ケアマネージャー等、各専門職に対し、積極的に意見やアドバイスを求め、社会福祉資源を上手に活用して負担軽減をはかって頂きたいと思います。

 

 

 

 

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