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森島 肇 先生

職種:作業療法士(リハビリの先生)

精神医療センター勤務

「作業療法による健康を考える会」世話人

「下町プロボノチーム おきゅLABO」代表

http://shitamachioccupati.wix.com/shitamachi-occulabo

 

 

作業療法士の地域での活躍の場の創出を通して、地域の方々へのご支援を実現していきたい。

 

 作業療法士が地域で活躍できる場を、どんどん作っていきたいです。

 

-森島先生、こんにちは。森島先生は、作業療法士として、精神医療センターでお仕事されている以外にも、地域で様々な活動をされていますね。-

 はい。病院以外では「作業療法による健康を考える会」と「下町プロボノチーム おきゅLABO」

という団体で活動しています。

 

-それぞれの活動について教えて頂けますか。-

 「作業療法による健康を考える会」は、様々な活動を通して、高齢者の方や障碍者の方の“生活の視点”を持った作業療法士を地域に増やすとともに、作業療法士の知識やノウハウを地域の方々に還元していくための団体です。

現在は、7名の作業療法士が参画しており、各人が各地域のニーズを持ち合って、全員で地域ごとの施策を考えたりしています。また、自治体が実施している福祉事業に職能団体として呼んで頂き、実際に地域の小学校などで、障碍者体験(盲目や片麻痺の方の動作を知るためのグッズを身に付けて活動する体験など)や、介護予防体操などを実施させて頂いており、徐々に活動は広まりつつあります。

 

「下町プロボノチーム おきゅLABO」は、「地域のみんなが家族」を合言葉に、赤ちゃんからじじばばまで、本人のみではなく、まま、ぱぱなど家族、友人、地域を作っている人々(行政や企業)などの地域の皆様の生活上の悩みを共に考え、解決方法やその出会いを作るプロボノ(※)活動です。

 

※プロボノ

各分野の専門家が、職業上持っている知識・スキルや経験を活かして社会貢献するボランティア活動全般

 

色々な活動のうちのひとつに、例えば、シングルマザーの方々に対して、子どもがいても仕事を続けられるということを実現するため、子連れ出勤の普及等の活動を行っています。

多くの方が、子供を保育園に預けることを考えているため、待機児童の問題が発生していますが、子供がいても働ける職場環境が世の中にたくさんあれば、そのような問題も解決できると思い、仕組み作りを主として活動しております。

 

-そのような活動をされようと考えたきっかけは何ですか-

 個人的なきっかけとしては、私自身も、同じような環境下に身を置いていたこともありますし、世の中を見渡すと、核家族化が進行し、孤立化・疲弊している人がたくさんいる中で、彼らを作業療法士として支援していきたいと考えたためです。

また、現在精神病院に勤めていますが、来院される方を見て、もっと家族や個人を支えてく人が増えていけば、もっとよりよい世の中になっていくと感じたためです。

 

-そのような活動に作業療法士が介入する意義を教えてください-

 作業療法士は、身体面や病気そのものだけでなく、各個人の生活の視点からアプローチできることに、大きな意味があります。生活というのは、身体の動作のみならず、自宅の環境や個人と地域とのつながり、行政の仕組み等、生活環境も含みます。地域にお住まいの高齢者の方やご家族の方に対してアドバイスさせて頂く際には、その方々の生活に則したアドバイスが必要ですから、生活視点を持っている作業療法士が介入させて頂く意義は大きいと思います。

 

-ご家族の方々の最も多い悩みは何ですか-

 付きっきりでないといけないという負担と不安ですね。具体的には「自分の時間が持てない」「親とどういう風に接したら良いのか分からない」という不安です。

 

-そのような悩みに対して、作業療法士として、どういったアドバイスができますか-

 単に話を聞くだけでなく、その方の生活歴を踏まえて、解決策を一緒に考えていくとうスタンスだと思います。生活歴として、どんなエピソードがあったのか、どんな想いがあったのか、そして現在の行動にどんな意味があるのかということを共有し、それらの生活歴を今後の生活にどう活かしていくかを前向きに考え、その人に適したアドバイスをしていきます。

 

-森島先生が行っている活動を、他の作業療法士に話すとどんな反応が返ってきますか-

 ありがたいことに、活動してみたいと言ってくれる作業療法士の方はいます。

ただ、「実際にどういう活動をすれば良いのか分からない」という方は多いと感じます。病院の環境に慣れてしまっている事や、地域での報酬がまだまだ少ないことに鑑みると当然かもしれませんが、最近『作業療法士の地域での役割とは何か』ということも話題になっていますし、地域の方々のニーズも感じるので、介護領域はもちろんのこと、それ以外の領域でも活躍できる場があるということを、どんどん発信していきたいと考えています。

 

情報が必要な人に行き届いていないことが課題

 

-現在の活動の課題があれば、教えてください。-

「作業療法による健康を考える会」は、行政との連携など、活動範囲は広がっていますが、もっと活動範囲を広げていかなければならないと考えています。そのためには、地域の企業やNPO法人と作業療法士が連携できる仕組みを作る必要がありますし、もっと作業療法士の方に、このような取り組みを知って頂き、参加して頂きたいとも考えています。

近々、地域の人や専門職が参加する大懇親会を開催する予定でして、活動を知って頂くきっかけになればと思います。

 活動を通して言えることは、情報が必要な人に行き届いていない気がします。

地域には素晴らしい活動はたくさんあるのですが、それを知る術がないのです。特に介護をするご家族の方々は介護に疲弊してしまっているため、情報を得る余力がないのです。ですから、周りの人や地域の人が積極的に情報支援をしていくこと、もしくはその仕組みの構築は急務だと感じますね。

 

-森島先生は、H-PAC(※)でも活動されていますね。-

はい。様々な立場の方が集まり、地域における問題点や解決方法を検討しています。

H-PACの10年の歴史の中で作業療法士は今までいなかったので、作業療法士の特徴を活かして、高齢者の方々の生活の視点を持って参画していければと思います。

 

※東京大学 公共政策大学院 医療政策教育・研究ユニットHealth Policy Unit(HPU)

医療政策実践コミュニティーHealth Policy Action Community(H-PAC) (H-PACの活動内容) 「医療を動かす」をミッションに掲げ、患者・市民、政策立案者、医療提供者、メディアの4 つの立場から医療政策分野においてリーダーシップを発揮している社会人(学生も可)の参加者が、医療政策の最先端課題を学び、さらに実践的なグループ活動により、政策提言や事業計画作成を行っている。

 

もっとたくさんの作業療法士が地域で活動できるようにしたい。

 

-森島先生のような活動をされている方は他にいますか。-

私の知る限りですが、福島県に1つ、九州に1つ、関西に1つと、数はそれほど多くないと思います。

作業療法士としての専門性を高めるための団体は数多くあるのですが、我々のようにプロボノとして地域に働きかけている団体は多くはないと思うので、たくさんの作業療法士の有志の方々が活動していってもらえれば嬉しいです。

 

-森島先生の今後の展望を教えてください。-

現在の活動を更に普及させて、地域のスタンダードにしていきたいです。例えば、地域に作業療法士の相談窓口を作るなど、子供から高齢者まで、様々な方の生活上の課題を作業療法士が解決できる仕組みを創出したいと考えています。

今後も「地域のみんなが家族」を合言葉に精進していきます。

 

 

 

 

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