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金子 智美 先生

職種:作業療法士(リハビリの先生)

勤務種別:介護老人保健施設

経験年数:13年目

 

より具体的な目標を立てることにより、リハビリテーションへのモチベーションとリハビリテーションの効果は向上します。

 

作業療法士は、福祉用具や自助具については、ほとんど頭の中にインプットされている。

 -金子先生、現在のお仕事の内容を教えてください。-

介護老人保健施設(老健)で作業療法士として働いています。

作業療法士とは、利用者さんの日常生活動作(排泄・食事・移乗・整容・)を主としたリハビリテーションを実施するリハビリの専門家です。日常生活動作だけでなく、利用者さんの余暇活動にもアプローチし、利用者さんのやりたい事を見つけて、それに向けてリハビリテーションを実施することが主な使命です。

私個人としては、リハケア課の主任ですので、利用者さんを中心としたリハビリ・介護・看護の連携のために、色んな職種と関わりながら仕事をしています。

対利用者さんとは、個別リハビリテーション(利用者さんとリハビリ職が1対1で行うリハビリテーション)で身体の改善や生活力の向上に向けて支援させて頂いたり、集団リハビリテーションで、リハビリ専門職と利用者さんが一緒に体操をしたり、ものづくりをしたりすることで利用者さんの身体機能の維持に努めています。

 

-老健に入居もしくは通われている利用者さんのご家族の状況を教えてください。-

仕事をしているご家族が多いので、施設に預けている方が多いと思います。

どうしても仕事をしていると、ずっと介護するわけにはいきません。

ですので、我々は、環境を工夫して、ご自宅でもケアしやすい状況を作っています。

例えば、移動手段(歩行器、車椅子、杖など)やご自宅の移動導線を見て、歩く時の足を出す順番や姿勢をアドバイスしたり、歩行器等の福祉用具を選ぶ際には、高さや幅等もアドバイスします。

 

-作業療法士は福祉用具を選ぶのが得意なのですか-

おそらく作業療法士の皆さんは、福祉用具や自助具については、ほとんど頭の中にインプットされていますので、個々人に適したアドバイスができると思います。

また、選ぶだけでなく作るのも得意です。

作業療法士が利用者さんの自助具を手作りで作り、利用者さんにご提供させて頂くことも多いですね。

 

 作業療法士は自助具を作るプロでもある。

作業療法士が利用者さんの自助具を手作りで作り、利用者さんにご提供させて頂くことも多いですね。

特にリウマチの方は細かい動作ができない事が多いので、自助具を必要としている方が多いです。

例えば、あるリウマチの患者さんはガス栓を開けることができなかったので、ガス栓専用の自助具を制作しました。市販されている自助具もたくさんありますが、個々の状況にあった自助具は世の中にはないので、我々が制作します。

 

 利用者さんの目標を明確にすることが、とても重要

 -老健でのリハビリテーションで金子さんが最も意識されていることは何ですか-

施設ではリハビリテーションの期限が決められています。ですので、ご自宅に戻られてからも、自力で生活ができるようなリハビリテーションを実施することは意識していますね。

その際に最も重要なのは、より具体的な目標の共通意識を持つことです。

そして、目標を達成できるように段階を踏んでリハビリプランを作成します。

 

-「より具体的な目標」とは、どんなものでしょうか-

私が担当させて頂き、実際に症例報告にも上げている、ある方の事例でお話しさせて頂きますね。

その方は、60歳代の女性で、廃用性症候群で胃がんの方でした。

初めは「歩きたい」という目標を持っていましたが、3か月たっても、まったく能力が上がりませんでした。施術はしっかりとやっていのにもかかわらず、です。そこで我々はどうしたら良いのかということを考え、彼女の以前の趣味や、本当の目標は何なのかという事を聞き出しました。そしたら彼女の趣味は「旅行」で、歩けるようになりたい理由は「旦那さんと一緒に介助なしで温泉に行きたい」ということでした。

その具体的な目標を元にリハプランを作り直し、一緒に頑張りました。

すると、能力の向上につながり、歩行器でようやく歩けるくらいだった身体が、1~2か月でフリーハンドで歩けるようになり、無事温泉に行くことができました。その後、私も一緒に温泉に連れて行ってもらいました。

 

もうひとつ。

その方は90歳代の女性で、認知症と大腿部骨折の方です。

彼女は初めのうちは、リハビリテーションを実施すること自体を拒否されていました。

はじめは、個別リハビリテーションを実施していましたが、どうしても拒否されるのです。

- どうしたら良いのか。

その時も彼女とリハビリ以外のことで積極的にコミュニケーションを取り、彼女の性格を事細かに分析した結果、彼女はコミュニケーションを取ること自体は大好きで、ものを作るのも大好きだということが分かりました。

ですので、我々は小集団のグループワークに積極的に参加してもらい、他の利用者さんやリハビリ職のメンバーと一緒にコミュニケーションを取りながら信頼を構築していきました。

その結果、「みんな頑張っているんだから」「あの人もやっているんだから」と、リハビリテーション実施に積極的になってもらえました。

 

この2つの事例から言えることは、

重要なのは、施術スキル+本人の意識変革だと思います。

 

 作業療法士は、利用者さんの生活を意識している職種

 -なるほど。作業療法士は、利用者さんの「生活」を起点としてリハビリテーションを実施していくということですか。-

もちろん、作業療法士だけでなく他の職種の方々も、利用者さんの生活への意識は高いと思いますが、特に作業療法士は、利用者さんの生活を意識している職種だと思います。

私は訪問リハビリテーションも経験したことがあるのですが、個人的に訪問リハビリテーションは大好きです。

なぜなら、実際のご自宅でリハビリテーションを実施するので、利用者さんの考え、生活状況、ご家族の状況など、「生活」をイメージしながらリハビリできるからです。

利用者さんのお立場から申し上げると、継続してリハビリテーションを実施されたいなら、訪問リハビリテーションをお勧めします。

 

-作業療法士としてのやりがいは何ですか-

先ほどの事例のように、最初拒否されていた方や、最初リハビリがうまくいかなかった方が、最終的に楽しそうにレクリエーションをしていたり、目標を実現されたときに、やってて良かったあと感じます。

 

ご自宅で介護をする中では不安なことは多いと思いますが、作業療法士が情報提供したり、色んな改善方法を提案していくので、一緒に頑張りましょう。

 

 

 

 

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